登った山々 | 金峰山 |
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磯間嶽 | |
桜島北岳 | |
亀ヶ丘1 | |
亀ヶ丘2 | |
野間岳 | |
竹山 | |
錫山・立神 | |
開聞岳 | |
冠嶽 |
野間神社の一の鳥居は笠沙町赤生木(あこうぎ)から黒瀬へと向かう峠にある。
野間岳には小さい頃から何回も登ってきた。
いつ訪れても飽きない山である。
昔は中国からの船は、この山を目印にやってきた。
歴史的に重要な山である。
今回の登山は頂上を目指すのが目的ではない。
もちろん頂上までは行くが、その前後にスリルを味わいたい。
いくつかの、切り立った岩の上に立とうと思うのだ。
登山口を紹介しよう。
笠沙町の椎木(しいのき)というところから登るのがよろしい。
他にも片浦と野間池・石間伏(いしまぶし)からの道路があるにはある。
片浦からは現在通行止め。
野間池からは遠回りである。
この椎木から車で15分くらい走ると、神社の駐車場に着く。
神社への分かれ道があるが、案内が出ているので間違うことは無い。
神社に着く少し手前に、水が溜っている場所がある。
ひしゃくも用意してあり、飲用可。
野間神社の駐車場を少し先まで進むと、見晴らしのいい場所に出る。
ここから野間岳の南側がよく見える。
元気のある方はもう少し登ると、塔のある場所へ辿り着く。
ここから頂上をゆっくり眺めるのも楽しい。
今回登りたい「みんちゃば石」も、ここからよく見えている。
写真右は西側から撮ったもの。
この岩々の上に立つのが、今回の目標。
見ての通りの絶壁である。
天気が最高にいい。
野間神社の駐車場に車を停める。
昔は神社が頂上にあったそうだが、何回か台風で壊れ今の場所に移した。
頂上へ行くには、この神社の階段を通らなければならない。
2月20日にお祭りがあり賑わうのだが、最近はだいぶ訪れる人が少なくなってきたらしい。
そうかもしれない。
私が小学生の頃は、1学年に140名以上の児童がいた。
今は10名前後。
授業は2時間目で終わり。
登りたい人だけ登った。古きよき時代である。
野間神社の北側から登山道が始まる。
しばらくはコンクリートで舗装された道だ。
昔はまったくそういうものはなく、岩と土を踏みしめて登った。
私はそちらが好きだが、高千穂の峰までも親切な道作りがしてある。
自然を味わいにいくのに、人工が足元にあるのは私は嫌いである。
しかし、大勢の人にとっては、それがありがたいことなのだろう。
そこはあまり気にしないことにする。
今回も、人の行かないところを目指すのだから。
数百メートルも歩くとすぐに、景色のいい場所に出る。
最初の展望所からは、西側の景色がよく見える。
眼下に東シナ海と点在する集落。
初めての方は、感動するに違いない。
まだここは序の口。
次の展望所からは、もっと素晴らしい景色が望める。
その途中にあるのが、なぜか県内各市町村の木を植えてある場所。
この寒かろう場所でも、ソテツが育っている。
あちこちにイノシシが掘り起こした跡がある。
昼間はどこに潜んでいるのだろう。
道はだんだん険しくなる。
チェーンが張ってあるので、年配の方はとても助かるであろう。
(あたしゃ 年配じゃ ござんせん)
しばらく進むと、南東側がよく見える展望所に辿り着く。
この日はうっすらとではあるが、開聞岳も見えた。
黒瀬・大浦の町並みが見える。
亀ヶ丘・磯間岳・沖秋目島も見える。
空気が澄んでいれば、三島も見えるのだが。
急な道がこれから先は続くので、ここでたっぷり休憩するといい。
ゆっくり休憩したら、またチェーンの張ってある急坂を登っていく。
頂上までは結構な時間がかかる。
今回の最初の目的の岩は、頂上に辿り着く手前にある。
6枚目の写真が西側から撮ったものであるが、この絵のいちばん右側に見えるのがその岩である。
写真左は標高300mくらいから写したもの。
写真右は別の位置から望遠で撮ったもの。
この岩は手掛かりがまったくない。
どうやって登るかというと、岩の近くに生えている細い木を伝うのだ。
身軽でないとできない。
写真左に見える木が、そうだ。
木登りは理屈ではなく感覚が大事なので、うまく伝えられない。
岩の上は、平たくて安定している。
昔登った方が2本のアンカーを打ち込んでいるが、錆びてしまっている。
折角アンカーを打つなら、ステンレスでなければならない。
この岩は、登山ルートからほんの少し外れているので、気付かない方も多いと思う。
わざわざ案内で導いても登れなければしょうがないし、梯子をかけるのは行き過ぎというものだ。
私みたいな者のために、静かにしておいて欲しい。
ここからの景色は最高である。春の日差しの中で、幸せを感じつつ休憩。
ここからは南東側から北西側までの景色が味わえる。
先ほどの展望所から見た景色に加え、野間岬も見える。
眼下には集落が点在する。
馬取山・姥・木場・倉狩・石間伏と、カーブを曲がるたびに違う名前の地区名。
昔は小学校の分校があったが、今は住む人も激減した。
海が綺麗である。ここでお昼にする。
後で紹介するが、海抜500m以上の地点から海面下の岩がよく見える。
大雨が降っても、このあたりは濁らない。
土地開発をしていないので、土砂が流れ出ないのだ。
野間池の湾が見える。
笠沙恵比寿の建物がとても近くに見える。
後で見てみると、人まで写っていた。
野間岬の風車もよく見える。
まだまだいっぱい、見えるものがある。
景色を言葉で表すことはできない。
ただただ見てもらおう。
頂上を目指す。
その前に岩から下りなければならなかった。
また木を伝い、サルのように動く。
ほんの少し歩くともう頂上だ。
ここは1等三角点のある場所だ。
鹿児島県には本土では3箇所しかない。
あとの二つは霧島と佐多だ。
昭和47年の太陽国体の時、ここで聖火の火が灯された。
この岩の上に立つと下界が見えるが、地面からはいい景色は望めない。
頂上には昔の神社の跡が残っている。
遠くから眺めると鋭角な山だが、頂上部付近には平らな場所がある。
風よけになるものが何もないので、季節風や台風の時にはものすごい風が吹くことだろう。
最頂部の岩に乗るのは気が引けたので、隣の岩から写真を撮った。
野間岬がやっとのことで見える。
さてここまではイントロだ。
ここから西側へ降りていく。
道はない。しばらく木々を掻き分けながら進むと、突然岩が現れる。
写真左に見える左側の岩の上に出る。
真ん中の写真はその岩の上から下界を写したもの。
野間池の街がくっきりと見える。
右に見える島は米島。
もっと空気が澄んでいると、甑島が見える。
西には鷹島。タカエビが獲れるところだ。
視界がよければその南側に、黒島・硫黄島が見える。
右の写真は写した本人がびっくりした。
標高550m付近から撮った海岸は、底の岩まで見えていた。
写真左は、次に向かう岩だ。
写真では岩の上に立つ緊張感が全然伝わらないことが分かった。
隣の岩を見るほうが伝わる。
写真右は米島。
今年の夏にカヌーで渡ってみたい島だが、さて行けるだろうか。
岩の上からビクビクしながら真下を撮っても、怖さはまったく伝わらない。
動画なら、まだうまく表現できるだろう。
あと三箇所、切り立った岩がある。
だんだん東側が見えてくる。
しばらくは写真だけを楽しんでもらおう。
言葉は少しの間、控えておく。
いよいよ大当・片浦が見えてきた。
写真右の、左側の一番上の岩から撮っている。
県内屈指の魚の宝庫である。
片浦漁港には、鹿児島市から仕入れに来る業者もある。
この景色を見てもらえば、少しは納得されるかもしれない。
冬には大量のイワシ。
春には何万匹ものブリ。
夏にはバショウカジキ。
鯛・太刀魚・アジ・サバ・サワラ・カマス・カツオ・イカ・・・
こんなにたくさんの魚介類が水揚げされる港はない。
麓には「玉鱗」など、おいしい魚を食べられるところがある。
すべての岩の上に立った。
西側の目標は達成。
頂上に戻る。
するとペアの登山者が。
男性のほうは上半身裸である。まさか・・
ぶよぶよのお肉をしていたので、きっと登るのに大汗をかいて脱いだのだろう。
お邪魔なのですぐに東側の道へ向かう。
しばらく降りていくと、写真左の柵のある場所へ着く。
ここが最後の目標の岩だ。
この岩もまた、手掛かりはない。
近くに生えている木を利用して登らなければならない。
岩の上は、割と平らである。
ここからの景色もまた素晴らしい。
紫尾山・霧島・桜島・金峰山・開聞岳・高隈山・・
眼下には大当・片浦・小浦、遠くには加世田・吹上・東市来・・
春の日差しを浴びながら、しばらくボオ〜ッとしていた。
ただただ気持ちがいい。
天国とは、きっとこういうところだろう。
そろそろ終わりが近づいてきた。
画像を楽しんでもらおう。
最後の岩を降りてしばらく行くと、石の門が現れる。
自然が作り出したものだ。
そこからさらに下ると、見晴らしのいい草原に出る。
ここからの景色もいい。
背後には野間岳の山頂が大きく迫る。
そこからほんの少し降りると、車の通れる道に出る。
神社の駐車場までは少し歩かなければならないが、苦になるほどの距離ではない。
無事に登山は終了。帰りは久しぶりに西側へ降りてみよう。
左の写真は登った西側の岩がすべて写っている。
やってみればなんということもないが、見ていると凄い岩だ。
こんなに近くに、こんなに素晴らしい山があることを、とても幸せに思う。
遠くから眺めても綺麗な形の山である。
まあいっど、きっみやんせ。
おわり
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