噴火や爆発の基準は桜島の場合、他の火山とは異なる。一般に火口から噴煙などの物質が出れば噴火となるが、桜島は噴煙高度が1000m以上のものを目安に噴火としている。また爆発は火口ごとに基準が違い、ともに爆発の衝撃によって起こる地震が前提で、昭和火口は島内に設置している空振計が10パスカル以上か噴石が火口から500m (5合目付近)まで飛散した場合に爆発。 南岳は火口から噴石が飛散したら爆発として数えているそうだ。(参照元 2010-05-26南日本新聞記事 桜島の噴煙を観測する)
桜島噴火によって起こる地震を感知すると鹿児島地方気象台内にアナウンスが流れ、職員が窓ガラスに貼られた高さ表示のテープを目印に噴煙の高さを目測で観測しています。気象台は桜島から見て西側の鹿児島市街地にあるため、昭和火口の様子は直接見えません。
したがって、国土交通省の桜島ライブ画像も観測の参考にしていると思われます。噴火しても地震が起きなければ、観測記録に噴火として記録されないことになります。夜の噴火で噴石が飛散しても噴火として記録されないことがあります。
山鳴りと火映現象
地下からマグマ(溶岩や火山ガス)がせり上がり噴火活動が盛んになると山鳴り(鳴動)が聞こえることがあります。実際に島内で聞くとジェット機が何機もエンジン音を響かせているようで実に不気味です。地元の人は地下で溶岩をすり潰している音だと言います。昼間は車の音などであまり気づきませんが、夜周囲が静かになると良く聞こえます。
山鳴りがするときには、火映現象を伴うことがしばしばです。火映現象は火口にせり上がった溶岩や火山ガスの火炎などが、噴煙や雲等に反射して火口の上が赤く照らし出される現象です。肉眼ではあまりはっきり見えませんが長時間露光によって火口周辺が赤く写ります。肉眼でも見えるような火映現象は、巨大な松明のようなもので初めて見ると驚かされます。
噴火の予測
夜間撮影は噴火しそうなときに出かけわけですが、どのようにして噴火を予測するのかが問題です。私の場合は、気象台の火山観測情報や国土交通省の桜島ライブ画像で活動が盛んになった時を一番の目安にしています。それ以外にはMBC南日本放送のWebページにある「ふるぷりライブ」画像に記録された噴煙の上がり具合を見ます。また、ネットの2chの桜島スレに投稿された観察記録なども参考にしています。
撮影ポイントに着いてからの予測は自分の経験が一番の頼りです。その日の噴火間隔や回数をもとに次の噴火時間帯を推計し、撮影構図を決定します。噴煙の具合や火映現象や山鳴りも参考になります。
噴火の前兆現象
撮影準備を整えた段階でいつ頃噴火するのか、これが一番大事なことです。
私の場合は昼間は噴煙と桜島全体を写す観光写真的なものが主になりますので、爆発音が聞こえてからでも十分間に合います。夜間撮影は火口が灼熱状態になり噴石が飛び出すまさにその瞬間から写そうとすれば、噴火のタイミングを自分で予測することが大事です。
噴火の前兆パターンとしては大きく2つあるように思います。
一つは勢いよく出ていた噴煙が止まり、火口にガスが溜まって「もよもよっと」(地元の人の表現)なると噴火が近いというもの。それが10分後のこともあれば1−2時間かかることもあります。
もう一つは、火映現象が次第に強まって肉眼でも見えるほどになり、ついには火口がオレンジ色に輝いて噴石を撒き散らすもの。
現実にはこのように単純ではありません。噴火が等間隔の時間ごとに起こることもありますが、火口が「もよもよっと」なってから噴火するまでに何時間もかかることも珍しくありません。また、火映現象が一晩中続いて結局何も噴火しないこともざらです。
全く噴火しそうにないパターンもある程度は判ってきました。それは灰色の噴煙が数時間も出続けて止まらないとき。火口から力なく水蒸気が出続けるとき。山鳴りも火映現象も全くないとき。このようなときは、早めに切り上げるのも賢明なことです。
ただし、夜半を過ぎてから噴煙のパターンが変わってきて突如火映現象が現れたり、1時間おきに噴火を繰り返したりすることもあります。撮影に向かう途中や、帰宅途中に噴火して悔しい思いをすることが多いですが、マイナスの気持ちを引きずらず「また良い日もあるさ」と、気分を切り替えて次の機会を狙うのが得策でしょう。
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