3 新湯展望台
えびの方面に通じる道が高千穂河原方面へ分岐する新湯交差点は道路沿いの残雪がカチカチに凍っていました。時刻は21時、大量の降灰のため高千穂河原への道はここで封鎖されています。撮影機材を担いで新湯温泉手前の展望台に向かいます。暗闇に黒々とした新燃岳が見えてきました。やはり噴石は出ていませんが山鳴りは続いています。新燃岳までは約3km、凶暴に変わり果てた山の姿に愕然としました。中腹に点々と溶岩のような赤いものが見えます。右下の川沿いにある水汲場の先にも何か明かりが見えます。道路工事の標識だろうかと思ったのですが望遠レンズで確認すると山火事のようです。
ゾッとしました。距離にして500m程度でしょうか、夜なので近くに見えるだけかも知れませんが自分が居るここにも噴石が飛んでくるのではないかと怖くなりました。山腹に見えていた赤いものは噴石による山火事でした。ここは道路下から硫黄の噴気が常に出ていて長時間滞在は危険です。道から離れた山沿いの斜面に撮影ポイントを定めました。足下には残雪が固まり、強い北西の風が吹いて気温はマイナス3度。噴火見物の人が時々やって来て、近くで撮影する人の声も聞こえました。 next

2 霧島へ急ぐ
噴煙は止まることなく上がり続け、気象庁は2500mと発表していますが実際には7500mの高さに達したようです。今回は激しい活動が夕方から翌朝にかけて続いたこともあり、何が起きているのか観測も報道も追いつけなかったように思われます。
霧島の火山活動がこれほど激しくなるのは近年にないことです。入浴、夕食を済ませ撮影機材を確認してコンビニで弁当を買い込み19時50分に出発。徹夜を想定し気持ちを落ち着かせながら準備したのですが、結果的にPCも炬燵も電源を切り忘れ! やはり焦っていたんですね。(笑)
はやる気持ちを押さえながら高速道路を北に走るものの、霧島の方角に火山噴火は見えません。溝辺空港付近からは確かに霧島連山が見えるはずですが・・・。みやまコンセール近くの道路右手には噴火見物でしょうか車が10台ほど駐車していました。

鹿児島市緑ヶ丘町から見えた噴煙
1月26日17時31分

新燃岳から直線で60kmほど

1 突然の大規模噴火
新燃岳ではごく弱い噴火活動が断続的に続き、火口周辺1km以内への立入規制もあり、韓国岳から高千穂河原、高千穂峰に通じる縦走路がしばしば遮断されました。
最近では2010年5月6日に噴火警戒レベルが2に引き上げられ火口周辺規制が継続していました。
それにしても、これほどの大規模噴火を誰が想像したでしょうか。
気象庁が警戒レベルを2から3へ引き上げたのは激しい噴火が始まってから3時間後の18時。
17時前には鹿児島市街地からも高く吹き上げる噴煙が見え、高速道路の高原〜都城は大量の火山灰が降り通行止め、それなのにテレビでは警戒レベルは2のままと言う報道が続き実に不思議でした。
一番ショックを受けたのは気象庁でしょう。

2011年1月26日、霧島連山の中心部に位置する新燃岳の活動が激しくなり、風下の宮崎県都城市や高原町を中心に大量の火山礫や、軽石、火山灰などを降らせました。あれから3週間が過ぎ、季節は春へ向かおうとしています。これまでの体験をもとに噴火活動を振り返り、今後のことなどを考えてみました。以下の記録は個人的なメモであることをご了解ください。

新燃岳の噴火撮影記   2011/02/15