台湾ツーリングの記録


 (第1日目) 自宅→福岡→台北

 早朝「目覚めたら8時,ワッしまった!遅れた!」というドキッとする夢を見た。
目覚めてホッ!夢で良かった。なぜこんな胃に悪い夢を……。

 06:40 高速バスで福岡へ向かう。
 10:40 福岡国際航空ターミナルに着いたときは,指示された時刻を30分ほど過ぎていた。
 出国手続きを済ませ,出発ロビーでヘルメットを持っているはずのもう一人のメンバーを探していると,お互い同時に探し当て「初めまして, よろしく」と初対面の挨拶。
 この時初対面のS氏は島根県からの参加でBMWに乗っており,奥様もスポスタXL1200に乗っておられるとか。

 12:10 台北行きBR2105便は定刻に離陸。レベル飛行に移るとすぐに出入国カードが配られた。税関申告書は最近廃止されたらしく配布なし。
このあと,昼の機内食が配られ,そうこうしているうちに着陸に向けて降下するとのアナウンス。アナウンスは英語,日本語,北京語の他に2つ (台湾方言?)あり5言語での案内だった。
 14:40 「台湾桃園国際空港」に着陸,福岡から2時間30分。
 空港で約1時間半,大阪からの到着便を待ち,大阪から1人参加のN氏と合流,出迎えた現地ガイドさんの車で空港から40分ほどの台北市内の ホテルへ案内された。
 市街地に入ると小排気量のスクーターがたくさん走っており,あちこち道路の両側に何十台も並べて駐輪している。このバイクが通勤時一斉に走り出すと カンボジア状態だろう。

台北の夜店  成田組が着くまでに時間があり,シャワーして,明日からのツーリングの準備を済ませ,ホテル近くを散策,ホテルから3ブロックほど行った ところに,台湾に来たからには行ってみたいと思っていた屋台が集まる一角があり,一回りしてみる。麺類,肉・魚,果物……いろいろな物が屋台 を連ねてひとつの飲食街になっている。
場所によっては刺激的な匂いも漂っている。夕方には間があったが,人通りは多かった。後で聞くと,ここは台北で唯一の24時間営業の夜店だそうだ。

 19:00 成田組とホテルで合流,9人全員が揃い,現地ガイドのバンで夕食に向かう。
現地ガイドが案内したところは台湾料理のレストラン,予約してあったらしいが順番待ちの客が路上に溢れており。かなり有名な店とか。
 台湾最初の円卓の中華料理を囲み,先ずは簡単に自己紹介,静岡県,埼玉県2人,東京都,千葉県2人,大阪市,島根,鹿児島からの参加。シニア6人, 青壮年3人といったところか。
 次々に運ばれてくる料理にビールを追加し,料理を堪能した。皆さんとは初対面と言うより旧友と再会したような雰囲気。

 (第2日目) 台北→台中市→日月潭

 06:00 起床,天気曇り。
 とにかく台北辺りの台湾北部は,地形的に天気の動きが読みにくく,予報は雨でも晴れる場合もあり,その反対もあるとのこと。レインウェアの 準備は欠かせない。

 今日からツーリング開始。
 朝食後,ガイドのバンに乗って,先ずはバイクのレンタル店へ。
バイクの機種はHONDAのホーネット,KAWASAKIのニンジャ,YAMAHAのトリッカーの250cc車とタイHONDAのCBR150が準備され,あらかじめ希望していた ホーネットに乗ることになった。
 現地ガイドがバイクツーリングの取り扱いは初めての経験だったらしく,レンタルと車両保険の全員の手続きには思わぬ時間が掛かった。
 
10:20 それぞれ各自のバイクが決まり,再度,
@バイクは右端のバイクレーンを走ること。
A交差点の左折は2段階左折であること。
B250cc以下は高速道路は走れないこと。
C60km/h以上(だったと思う)のスピード違反はバイクを没収され,営業損失額を支払う羽目になること。  … などの説明の後,試乗なしのいきなりのスタートとなった。

 最初のスタートで自分のホーネットのクラッチがレバーの先端で繋がり,遊びがほとんど無いことが分かった。これが後で響いた。
 レンタル店は交差点の角にあり,いきなりバイク群の中に入り,2段階左折でのスタート。
しかし,これで左折の要領は分かった。直進して一旦2段階左折用に交差点の角に白いペンキで設定された四角い枠の中に止め,日本の原付の要領で次の 青信号で進む。
交差点のバイク群 台北は大都会だ,車もバイクも多い。しっかりついて行かないと置いてきぼりを食ってしまう。見失って迷うとどうしようもない。
 初めてのメンバーで,且つ9台ともなると,ややもすると先頭と最後尾の間が伸びる。先導車と先頭が信号の青で渡っても後ろは赤で止められ,青になったときには先頭は次の交差点を渡って,後ろはその信号でも止められる。と言った 具合だ。
 後続が離れたときは先導車が右に寄って止まり,後ろが追いついたら走り出す……を繰り返し,街中走行が続いた。
 クラッチが先っちょで繋がるので,アクセルワークがうまくいかず,ギアチェンジのつど一瞬空ぶかしとなり4気筒高回転のエンジン音だけが ビイーンと甲高くなる。
 更に,遊びがないのでクラッチを切るのに余分な力が必要となり,町中で度々ギアチェンジを強いられるので左手が疲れ,半日も走らないうちに痺れてきた。

 台北市から3号線を南下,街並は切れることはなく車と信号の多い道を約2時間走り,「関西」という所で昼食,慣れぬ道とはいえ走った距離は まだ60kmほど,今日の予定は260km,先は長い。昼食は,客家料理,円卓に鶏肉,豚肉の料理と共に鯉の餡かけなど10種類ほどが出て,ついつい食べ過ぎてしまう。

 昼食後,3号線を更に南下。「大湖」というところでしばらく休息を取る。
ここ「大湖」の前後はカーブは多いものの車の少ない山間部の走行区間があり,先導車がスピードを上げた。街中の雑踏を離れると,解放されたようで ツーリングらしくなる。
 ひたすら南へ向けて走っていると,目指す「日月潭」の方向は黒雲に覆われており,途中,ついにパラパラ小雨がぱらつき始め,レインウエア 着用となった。
 既に時刻は夕刻の4時を回っており,曇り空もあって薄暗く,ヘルメットに水滴がついて前が見づらい状態になった。雨は,小雨のまま大降り にはならずに止んだ。
 道路は,3号線から左折「日月潭」という湖に向かって山手に入り,右に左にカーブの多い上り道になった。ほぼ一本道とは言え,ガイドの先導車は どんどん先に行く。先頭が急ぐと後ろは困るのだが。夕食の時間を予約してあり,間に合わそうと急いだらしい。

 19:20 台北を出発して約9時間,すっかり暗くなってから「日月潭」の湖岸にあるホテルに着いた。初日,信号の多い一般道の街中走行が続き, バイクのクラッチは重く,すっかり疲れた。左右両手とも握力が極端に落ちた。歳のせいか?
 明日は車に乗せてくれとも言えないし,先が思いやられた。
 [本日の走行距離260km]

 (第3日目) 日月潭→斗六市→嘉義市→新営市→台南市

 今日は走行予定距離が140kmと短く初日が疲れたと言うこともあって,出発はゆっくりの10:00になった。
 それまでは自由時間。バイキングの朝食を済ませ同室のMさんと外に出る。
ホテルの正面,道路向こう側にある朱塗りの屋根が鮮やかな「文武廟」という道教の寺院にお参りする。ホテルの前にはたぶん大陸からの観光客を 運んできた大型バスが5,6台並んでいた。道路沿いにはお土産を売る小さな店が軒を連ねている。
台湾最大の淡水湖「日月潭」 日月潭は月と太陽をくっつけたような形の湖であることから,この名前がつけられたという台湾最大の淡水湖。月と日の接点辺りに浮かぶ小さな島 「拉魯島(ラールータオ)」は,先住民サオ族の聖地であるが,1999年の大震災で水没,現在はわずかに山頂部が残るだけになったとのこと。この日, 曇って向こう岸が霞んでいるのが残念だが,湖水は深い青緑の穏やかな水面を見せていた。

 出発の前に,エンジンをウオームアップし,工具を持参した添乗員のYさんにオイルの補給と硬かったクラッチ緩め,手前で繋がるように調整して もらった。この効果はすぐに体感した,ホーネットの扱いが非常に楽になった。

 10:20 次の目的地「台南」へ向けて出発。
 標高760mの「日月潭」に沿って湖を1/3ほど周り,主要道路国道3号に下るまでは一本道とのことで合流点まで各自フリー走行となった。
 カワサキのニンジャを駆るK氏(彼は以前台湾にいたことがあるらしく土地勘があり,このツーリング中,常に先頭を走っていた。)がスタート したのに続いて,2番目にスタートする。しばらく走ったところで添乗員のYさんのCBR150が追いついてきて前に出た。
 道は左右にカーブの多い下り道,K氏とYさんの2人がどんどん飛ばす,こっちも遅れじとついていく。湖岸の景観もそこそこに,ギアを落として 回転を上げビイーンと甲高い排気音を響かせながらカーブを高速で駆け抜ける。若い頃に戻ったような錯覚。
 今朝のクラッチの調整で,アクセルコントロールがスムーズになり非常に扱いやすくなった。このHONDAのホーネットは4シリンダーの高回転 E/Gなので,ギヤを2段ほど落としてエンジンブレーキでカーブに入ってもブレーキが利きすぎることはなく回転が上がりスムーズに速度が落ちて, ブレーキの必要はない,カーブを抜けると逆にスムーズに加速が利く。
 前の2台にぴったりついて高速で駆け抜けているうちに,後続車はバックミラーから消えた。途中,見晴らしの良い展望台らしきところもあったが 素通り。
 国道3号に合流するところで先頭が止まり,全員が揃うのを待った。

 ここからは,昨日と同じ交差点の多い街中走行,道案内の現地ガイドの車を先頭に見失わないように9台が追随。
 途中,「集集」というかつて日本が造ったという鉄道駅での休憩を挟んで,13:00「嘉義」というところで,こんどは香港風という海鮮中華の昼食。
 席上,台湾にレースに来た訳じゃないから,もう少しゆっくり景色を楽しみながら走ろうという意見が出た。もっともだ。つい歳を考えず飛ばしたが, 我々シニアにとっては早すぎる。

北回帰線  15:20 今回のツーリングの目玉の一つである「嘉義市」の北回帰線と交差する地点に到達,今の時期,太陽は南回帰線の方にあるが,北半球が夏至のとき 太陽はこの真上に位置する。
ここには,北回帰線を示す記念の塔が造られた年度順に5つ並び,その向こうに展望所ができていた。

 18:10 市内の混雑を抜けて「台南市」のホテルに着いた。
 夕食は,度小月という台湾にいくつか店舗を持つというレストランへ移動,最初にこれまでになかった「担仔麺(タンツーメン)」という有名らしい? 麺類が出てきたほか,そぼろ風の豚肉をかけて食べるおこわ(時期によってはカニおこわとか)もまた美味かった。毎昼夜の美食でついつい食べ過ぎてしまう。
 食後,台南の街をぶらつき,果物屋さんで熱帯の果樹を味見し,台湾のバイク乗りが付けているカラフルなマスクを買ってみた。
 [本日の走行距離 177km]

 (第4日目) 台南市→高雄市→台東市

 08:00 出発。今日は,台湾第二の都市「高雄市」の観光地「蓮池潭」「澄清湖」を巡った後,南部をぐるっと回って大陸側から東側の太平洋沿岸 へ向かう。昨日,一昨日と距離の割に思いの外時間を要したので,今日は早めにスタート。

姑娘檳榔  1時間ほど走り台南の街中を抜けた郊外の空き地で一時休止したときのこと。 街中から離れたその空き地に妖しい小屋?があった。
 ピンクの看板に「姑娘檳榔」とあって,小屋とも店舗ともつかぬ透明のガラス張りの店に,これまたギョッとするピンクのネグリジエ?を着た お姉さんが太ももも露わに店番?をしている。ガイドの話によると,檳榔(ビンロウ)というヤシから採れる実を売っているのだという。私は気がつかなかったが メンバーによると,途中でも同じような店があり女性に目がいって,危うく前車に追突するところだったという,さもあらん。
 ガイドが,たばこ1箱ほどの大きさのビンロウ1箱を買ってきたのでみんなで試した
。小さい粒をかみ砕くと強い香辛料のような何とも形容 しがたい強い香りが口中に拡がる。飲み込むものではなく咬んだ後はき出す。この刺激はこの日半日口の中に残った。
ニコチンと同じ効果があり,アジアでは広く噛まれて居るらしい。
 ウイキペディアで調べると,「台湾では、露出度の高い服装をした若い女性(檳榔西施)が檳榔子を販売している光景が有名」とあった。

蓮池潭  高雄に着き,はじめに「蓮池潭」へ立ち寄る。
 中国からの観光客や欧米人を乗せた観光バスが次々に訪れ,大勢の人で賑わっている
。 湖水に突き出した2つの寺院風の龍虎塔があり,龍の口から入り寅の口から出るようになっており,こちらも人々が列をなしていた。
 次に訪れたのは「澄清湖」,こちらは,観光客はほとんど無く閑静な落ち着いた雰囲気の湖で,中国の西湖をモデルにした人造湖だという,それにしては 周囲約7kmと壮大だ

 昼食へ向かう途中のガソリンスタンド,台湾には芝油,92,95,98という油種があり芝油は灯油,98はハイオクだと言う。ホーネットには95を給油。
9台がそれぞれ給油し,各自で支払う。リッター約30元(90円)。
 ここで最初のトラブルは起きた。
 9台の最後で給油し代金を支払って周りを見るとあれれ…,誰もいない。
フト見ると,ガイドのライトバンが左前に止まっている。待ってくれたのかと思って,運転席の横に並びのぞき込むと見知らぬ男女だった。(この時, 車越しに道路の向こう側に全員待っていてくれたらしいが,このライトバンに遮られて見えていなかった。)
 置いてきぼりを食ったか,そのうち気づいて待っていてくれるはずだとG/Sから右方向へ走り出す。追いつかねばと急ぐが,それらしき集団は見えない。 今日泊まるところは分かっているから,最悪一人でも構わないとは思いつつも,やはり不安。
 3,4キロ走っても前方に集団は現れず,そのうち二股の交差点へ来た。ここを間違ったらとんでもないところに行くと思い停止。添乗員の非常用携帯 に電話,走行中なのか応答なし,そこで,たまたまこの日の朝,ホテルを出るとき貰ったガイドの名刺の携帯番号へ電話してみた,すぐに応答があった。 「何処に居るんですか。みんなG/Sの所で待ってますよ。」とのこと,ホッと安堵,Uターンして戻る。かなりの距離を走っていた。しかも行く先とは 逆の方向で,危うく行方不明になるところだった。
皆さん待たせてごめんなさい。

 昼食を済ませ,さらに南下したところでルートは海岸沿いのほぼ一本道になり,南の半島を横切る手前「風港」までは各自のフリー走行となった。
 景色の良いところで写真摂ったり,各自それぞれ自由に走行。
 「風港」で一旦集合し,行く手の空模様を見てレインウエアを準備し,次は半島を横切って太平洋岸の「達仁」まで再びフリー走行。
 この西側の海岸から山を一つ越えた向こう側の海岸へ出るこの半島横断道路は,1車線の狭い坂道で大型のトラックが黒煙をあげながらあえぎあえぎ 上り,時には観光バスが行く手をふさぐので,追い越すに追い越せずほとんど低速運転。
 あまりのノロノロ運転に,先頭を走っていたN氏が連続カーブの隙を見て左対向車線に出て連なっていた3台を一挙に追い越し前に行った。
遅れじと2番目に付けていた私も次の右カーブで対向車が来ないのを見計らって,ギアを2段落とし一気に加速,追い越して右に戻ると,舗装の切れた 荒れた路面が現れ,すぐに次のカーブになった。これを切り抜けるとそのうち坂道を登り切り下り坂になった。N氏は余程飛ばしたのかなかなか捕まらない。 バスや乗用車を数台追い越して,しばらく走ったところで,やっと連なったトラックの後ろに付いていたN氏に並んだ。その後は2人で走り,東側 「達仁」の海岸の空き地で休止,後続を待った。
 時刻は夕闇の迫る17:00,距離的には一周の半分の600kmに達している。
 18:30暗くなってから「台東市」の温泉ホテル「亜湾温泉飯店」に着いた。
 [本日の走行距離214km]

 (第5日目) 台東市→タロコ渓谷→花蓮市

 台東市は先住民族の多いところで,ホテルのスタッフもやや色黒の少数民族らしき男女が多かった。大浴場や温泉プールのある温泉ホテルとあって 大陸から来た中国人が溢れており,ワイワイ賑やかだった。とにかく中国人は大声でしゃべる。夫婦2人の食事中であっても,けんかしてるのかと 思うほど周囲を気にせず大きな声でしゃべる。
 中国人の団体がひとしきり終わったところで,バイキングの朝食を済ませた。
 08:30 出発。
 海岸線を沿岸の観光地「三仙台」「八仙洞」「北回帰線」の地点で集合することにして,台東の町中を抜けたところで,今日も各自フリー走行となった。
 天気も良く,右に見る太平洋が青々と水平線まで拡がり,沿線のヤシの木がいかにも南国らしい,行き交う車も少なく,絶好のツーリング日よりであった。

「三仙台」  「三仙台」は,かつて陸続きの半島が太平洋の荒波に浸食されて島となってしまった所で,今は8連のアーチ橋が架けられ,観光地となっている。
おみやげ店の連なった一角では民族衣装の娘さんが歌を歌って観光客を歓迎していた。
 「八仙洞」こちらは岩肌を荒波に削られてできた浅い洞窟,この洞窟を祠のようにして奉ってある。急な階段を20mほど上った崖上にもあった。
 再び「北回帰線」,台湾を横断する北回帰線の東側,北上する海岸線と交差するところに北回帰線の大きなモニュメントがあった。西側の北回帰線 の時と同じように,しばらく止まり,みんなで記念撮影。
 ここも,地元か,大陸からかたくさんの観光客が来ており,写真を撮り合っていた。
 この辺りで燃料計の針が燃料が少なくなっていることを示しているのに気づいた。

 この日,昼食は「石門」という漁港のドライブイン風レストラン,最初に出てきたのは台湾で初めての刺身(マグロ?),ワサビも醤油も本物?で おいしかった,鹿児島でよく食べるキビナゴのフライもあり,ここでも食事に大満足。
 昼食後3台のバイクのチェーンの伸びを調整して出発となったが,燃料計がEマークに近づいている。ガイドに聞くと「10kmほどの所にガソリン スタンドがある」という。添乗員のYさんに言っても「燃料計がおかしい場合もありますから…」と請け合わない。
 切れたときはその時考える ことにしてスタート。

 しばらく走り,Eマークになった辺りで,道路は狭く坂道の登りになり,燃料が気になりつつもギアを落とす,10kmほど走ったが,G/Sは現れない, 家並みもその辺に見あたらない。峠を越え道は下りになった。できるだけ燃料を食わないようにクラッチを切って下る。とうにEマークを下回っている。
 昼食から約30km走ったところで,ようやくガソリンスタンドがあった。

タロコ渓谷  海が見えなくなると,どこをどう走っているのか分からない。「花蓮」を通り越し,「新城」というところで海沿いを走る9号線をはなれ,内陸の 「タロコ渓谷」へ向かった
。  この辺りから黒い雲に覆われはじめ,空模様が怪しくなってきた。
 タロコへの道は,バス1台やっとの狭い曲がりくねった道だ。岩をくり抜いて通路にしたところでは対向車線と交互の一方通行,対向の観光バスの 屋根が岩に触れんばかりである。ある時,前のグループを追っていたとき,落石防止のトンネルを通り抜け,加速しようとしたとたん,右側から別の 道が合流し,観光バスが一旦停止もせず右折してきた。直進のこっちが当然優先のはずだが,バスはスピードも落とさない,危うく左の反対車線へ逃れ,何とか事なきを得た,危なかった。

太魯閣(タロコ)渓谷」は,台湾の国立公園で立霧渓(リーウーシー)と呼ばれる渓流・河川が大理石の岩盤を侵食して形成された大渓谷である。奇岩怪石 と水の美しさから、台湾の中でも特に人気のある観光地とのこと。どこまで行っても渓流と1000m以上の絶壁の峰々に囲まれた渓谷である。この辺りの岩, 対岸の岩肌は全て大理石らしい。
 ゆっくり見て回ると,いろいろありそうだが,我々の旅は走る旅であって観光の時間は少ない。16:30 と夕闇も迫ってきて小雨もぱらついてきたので, 途中から今日の宿泊地「花蓮」へ引き返した。

 夕暮れの「花蓮」市内に入って,またもや危ない目にあった。
 暗くなり市街地に入るのでガイドのライトバンがホテルまで先導,後から2列縦隊で付いていく,市街地に入り車が急に多くなった。時折小雨で視界 も見づらいうえに交差点も増えてきた。ライトバンを見失わないよう,時には信号に逆らって後を追う。
 バイクは右端のバイク専用車線,ライトバンは左隣の車線である。左隣のライトバンの後ろには車が連なっている。既に辺りは暗くなっている。
 という状態の時,ライトバンが突然前触れなく左ウィンカーをつけ左折した。
ライトバンのすぐ右後ろにいた私は,突然の左折に戸惑ったが見失うわけに行かない。
とっさにライトバンの後の車を避け中央へよってそのまま対向車線を横切ろうとして,パッと右を見ると目の前に大型トレーラーが迫りキキーッと 急ブレーキ,ガッシャーンとものすごい音がしたときは,危機一髪トラックの直前をすり抜け,左折していた。
 自分の隣にいたメンバー,後ろに付いていたメンバーはどうしたろうと,先に行く道案内のライトバンも気になったが,徐行して交差点から離れた ところで停止,後続を待った。
あのすごい音は,トレーラーの急ブレーキで連結部分がきしんだ音か後続車の追突だったかも知れない。トレーラーのドライバーには悪いことをした。
 かなり長く待っても後続が来ない。もしかしてトレーラーの事故に巻き込まれたかと不安になる。先導車はとっくに見えなくなり一人だけ残され, 進退ままならず待っていると,ようやく,後続組がやってきた。
聞くと,後続組は左折できずそのまま直進し引き返してきたらしい。トレーラーも無事だったようだ。このトラブルで,私の隣を走っていたメンバー1人 がはぐれてしまったり,もう一人がみんなに気づかず先に行ってしまったり,一時混乱した。
若い頃はトラブルもツーリングのうちとうそぶいていたが,今はごめんだ。
夜の知らない街を集団で走っている。ガイドさん自分だけじゃないぞ…!

 「花蓮」の花蓮翰品酒店というホテルは,これまでで一番感じの良いホテルだった。我々の2人部屋はダブルベッドが2つ、室内の装飾もバスルームも 洗練されており,夕食の会場では,いつもの中国人と違って日本人熟女グループが何組か円卓を囲み,エレベータで一緒になった欧米人はイギリスからと 言っていた。
[この日の走行距離 256km]

 (第6日目) 花蓮市→台北市

 ツーリング最終日,海岸線を北上して台北に戻る。
 07:30 台北が夕方のラッシュ時に掛からぬよう早い時刻の出発。
 台湾北部は,雨マークが多い。事前のヤフーの週間予報ではこの日「雨」となっており,覚悟していたが,今朝のTVの天気予報では「花蓮」周辺が雨マーク, 台北付近はラッキーなことに晴れマークとなっていた。

 先ずは燃料を満タンにし,海岸沿いの一本道を次の集合地点まで各自フリーでスタート。
断崖絶壁
 右手に拡がる太平洋(フィリッピン海)から東シナ海にかけて海に接したり山手へ入って海が見えなくなったり,比較的交通量の少ない9号線を北上 していると,次第に標高が高くなり,海に面した断崖絶壁の曲がりくねった狭い道となった。
海側には落下防止のコンクリートの防護壁があるので,怖さは感じないが,これがなければ相当のスリル感があったろう。この断崖絶壁の区間は行けども 行けども続き,4時間は走ったろうか相当に長かった。


 13:10 「基隆市」に入る手前から左折「金瓜石」というかつて東北アジア一を誇ったという金鉱山の跡を遠望して,「九イ分(キュウフン)」に入った。
「九イ分」は,かつて金鉱山が最盛の頃発展した町で一時衰退したが,観光で盛り返し,宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」のモデルになった所とも言われ ているとのこと。
 山の中腹の斜面に軽自動車がやっと通れるほどの路地が張り巡らされ,路地の先には急坂を上に伸びる階段の狭い路地があり,その両側には土産類や 民芸品、お茶など台湾の特産品を売る店がズラリ並んでいる。大勢の観光客の中では日本語も時折混じる。
九イ分  我らは,この路地の一角にあるレストランで昼食となった。高台にあるため見下ろす眺望は素晴らしい。ひととき土産店の並んだ路地を歩きゆっくりした。 階段の路地の奥には何のお店か「秘密基地」と看板のあるピンクの店もあった。

「九イ分」から台北までは50kmほど。
16:00 には台北市内に入った。夕方のラッシュではなかったが,やはり台北,車もバイクも格段に多い。
 市内に入ると右も左も分からない,ガイドの先導車を見失わないように右端のバイク専用レーンを付いて走る。
16:30 バイクレンタル店に到着,かくして台湾一周ツーリングは全員無事に終了した。
 [最終日の走行距離 250km/全走行距離 1,157km]

 この日,晩餐は大きなホテルのレストランへ移動,北京ダックなど中華料理にビール,紹興酒を追加し,無事完走を乾杯し,最後の中華料理を楽しんだ。

 (第7日目) 台北→福岡→自宅

 05:50 身支度を済ませ,昨夜のうちに纏めた荷物を持ってロビーに集合。
朝食に丸い菓子パン2個と野菜ジュースの入ったボックスが配られ,マイクロバスで空港へ向かう。空港へは,最初に出発する福岡便の出発約1時間前に着いた。
 ここで大阪・成田組と再会を期して別れ,島根のS氏と福岡便出発ロビーへ向かう。

 08:20 エバー航空BR2106便は予定の時刻にテイクオフ。
1時間ほど飛んだところで軽い機内食が出て,そうこうするうちに降下をはじめ,気流が良かったのか2時間しないうちに福岡空港に着陸した。
 島根のS氏と別れ,いつもの高速バスで鹿児島に向かう。
 16:30 わが家に帰着。
 台湾をバイクで一周したが,肝心な所に立ち寄っていないし,夜店もゆっくり巡りたい。充分余裕を持ってもう一回台湾を訪れたい。

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