ア ラ ス カ の 氷 河

 
 今回のクルーズの2番目の目的は,海上から見る氷河。これがなければウッカタ・サービスのクルーズと言っても見送っていた かも知れない。

@初めて見た氷河は,寄港地ジュノーだった。
 ジュノーで下船して約20Kmバスで移動,陸地から見ることのできる氷河では南東アラスカ最大という「メンデンホール氷河」。

 バスを降りて,氷河が目に飛び込んだ途端,オオッ!!である。
 向こうの山と山の間から巨大な氷塊が河となってメンデンホール湖へせり出し,断面の氷壁を見せている。その氷壁は, 幅1.6Km 氷壁の高さ30mという。
 初めて見る氷河はすごい迫力だ。地球の氷河期の終末が12,000年ほど前とすると,それ以前の氷が,今,目の前にそびえて, 徐々に流れ出しているのだ。
 この光景は,数年前,初めてマッターホーンの銀色の山頂が,麓の山間から見えたときと同じ感動であった。
 加えて,この日遊歩道の下を流れる小川に野生の熊が1頭現れ我々を歓迎してくれた。やっぱりここはアラスカだ。

A次に見た氷河は,アラスカ1番の見所という「グレーシャーベイ国立公園
 陸地が長い年月削られてできた細くて長い複雑な入り江の湾奥に16もの氷河が流れ込んでいる地域である。
 1794年イギリスの探検家が発見したときは湾全体が氷で覆われ,氷河は高さ1,200m,幅は30km以上あったが,100年後には 70km近く氷が後退し,湾が広がっていたという。
 世界でも屈指の美しさを誇り,アラスカでは唯一の世界自然遺産,先住民からは「巨大な氷山の湾」と呼ばれており, ダイナミックな景観に加えイルカやクジラ,熊など100種類以上の動物が生息する。

 ダイアモンドプリンセス号はゆっくり湾内を奥へ進んだ,雲が低くたれ込め視界がぼんやりしている,波一つなく穏やか, 向こうの山が海面に写っている。肌寒い。
奥に進むにつれ,「リード氷河」「ランプルー氷河」「マージェリー氷河」「グランドパシフィック氷河」が次々に現れた。
山頂の雲の間から湾内へ流れている青白い氷河は,いずれも幻想的でさえある。

 中でも一番湾奥の「グランドパシフィック氷河」は高さ,幅とも巨大で圧巻だった。
先端の氷壁が今でも1日1〜2m崩落するらしいが,我々の目前でも氷河の先端の氷壁から小規模の崩落があった。 滑落は小規模でも雷のようなドドーンといった衝撃音がある。それは数千年前に閉じ込められた空気の泡がはじけるためという。

B氷河の3カ所目はアンカレッジ寄りの「カレッジフィヨルド
 ここもグレーシャーベイと同様に細長い入り江の両側に氷河が何本も流れ出している。ここの氷河の名前は左側はアメリカの男子校, 右側は女子校の名前が付いていた。

 一番大きい氷河は湾奥の「ハーバード氷河」,全長123km 高さ90m 幅9,6kmもあり、この幅は北米最大。氷河の流れるスピード が速いことでも知られ、1986年夏、1日に約40mも移動した記録があるという。アラスカの多くの氷河が後退している中、現在も活発 に前進している氷河だそうだ。
 「ダイヤモンドプリンセス」は,ハーバード氷河の前でしばらく停止,落下客?に備えてかオレンジ色の救命艇を降ろして見張ら せていた。
 ここでも氷河を凝視していると,数回,ドーンという雷鳴と共に氷壁の崩落があった。

Cこのクルーズでは,へりにより氷河の上に降り立つオプショナルツアーもあり,行ってきたという人たちもいた。へりには, 氷上用のスパイクシューズ,手袋,防寒ジャケットなども準備してあったそうだ。

 
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