ア ン コ ー ル 遺 跡 の 概 要


 誰でもインドシナ半島にある「濠をめぐらせた密林の中の城」のようなアンコールワットの写真を一度は見たことがあると思う。  一時,カンボジアの内戦でこの辺りも銃弾が飛び交い,遺跡の損壊を懸念するニュースが流れたこともあった。
 
 インドシナ半島の中央部に位置し,ベトナム・タイ・ラオスに囲まれたカンボジアは,1953年フランスの植民地支配から 独立した後もベトナム戦争のあおりや国内の政治的混乱で内戦が続いた。ポルポト派が壊滅し,国連が支援に乗り出し,漸く紛争を終結させ,つい最近の1993年9月新生 カンボジア王国が誕生,現在に至っている。
 この国連活動に際し,戦乱の余韻の残る中,日本は自衛隊を送って道路を建設したり,選挙監視要員を送るなど, 積極的な支援を行った。
 
 アンコール遺跡は,9世紀から13世紀にかけてカンボジア(クメール)のアンコール王朝が建造した寺院や城塞都市や貯水池 などで,この遺跡を見ると,現在はインドシナ半島で一番小さな国となったカンボジアも,当時はインドシナ半島のほぼ全域を支配下に置き,こんなにも強大な力を有し, 栄華を誇っていたのかと驚かされる。
強大な力を持ったアンコール王朝も,内陸国の運命として国境を接する隣接国部族との攻防を繰り返し,ついにはタイの 攻勢を受け衰退した。
 その後,都市や寺院は密林に放置され廃虚と化し,子孫のカンボジア人でさえ完全に忘れ去り,言い伝えも記録も 残っていないという。
 16世紀頃にはヨーロッパの宣教師等により存在は知られていたらしいが,世界に大きく知られるようになったのは150年ほど前, フランス人のアンリ・ムオが世界一周という雑誌に概要を載せてから。近年,遺跡の碑文や隣接国や中国の記録の調査研究が進み,建設年代や当時の王の名前などが解明 されつつある。また,現在も日本をはじめフランスなどいくつかの国が遺跡の修復や調査を行っている。
 
 アンコール遺跡をはじめ当時のクメール文化の遺跡は,有名なアンコールワットのある地域を中心に広くはタイにも 拡がり東京都に匹敵するほどの広大なエリアに点在しており,王都や石造寺院は未発掘のものを含め700箇所以上あると案内書にある。 独特の仏塔,ヒンズー教伝説と仏教の混在,繊細で膨大な彫刻にその特色がある。
 
 当初,密林の中で発見された未知の建造物アンコールワットだけだと思っていたが,現地に行く前にネットで関係 ページをいくつか見て,アンコールワットだけではなく周辺に遺跡が多数あり,1日2日ではとても見て回れないことも分かった。またネット上でアンコール遺跡 ファンがたくさんいることも知った。今回のアンコール遺跡訪問は偵察程度にしかすぎない。
 
 そうした中で今回訪ねた遺跡は
@ 最も知られたアンコール・ワット 
A 3Km四方の広大な城塞都市アンコール・トム城内の遺跡 
B タプロムなどアンコールトム周辺の遺跡 
C アンコールワットから40Km北東のバンテアイ・スレイ 
D 遺跡ではないが,東南アジア最大の湖で2万人の水上生活者が住むトンレサップ湖
E このほかにタイのバンコックの王宮,アユタヤ遺跡(世界遺産)

 現地は5〜10月は雨季にあたり,空は曇っていたが,雨は夕方のスコール程度で, 日中もかんかん照りではなく,適度に風が吹き日本の夏よりしのぎやすかった。
 その代わり,素晴らしいとされるアンコール・ワットの向こうから昇るサンライズ, 樹海に沈むサンセットは雲のため見ることができなかった。
 
 アンコール遺跡へのアクセスは,近くのシェム・リアップという町が基点になる。
日本からの直行便はなく,飛行機はバンコックやシンガポール,プノンペンで乗り継ぎ。 シェム・リアップはここ数年のうちに急激に観光客で賑わうようになり,これを見込んでぞくぞくホテルが建設され,1,2年で 町の様相が様変わりしているとのこと。
 
 カンボジアの現状は,内戦の疲弊から漸く立ち直りつつあるところで,住民は貧しい。
日本の戦後を再現しているようでもある。子どもは裸ン坊で走りまわっているし, 道路は未舗装のほこりが舞い,牛の糞が落ちており,遺跡の数箇所で傷痍軍人らしき人が観光客に手を差し出す。今の若い人たち は知らないだろうが,かつて日本でも同じ光景が見られた。
 ガイドの説明によると,先生の給料が月20$(米ドル)程度というが,初任給にしても低い。 通貨はリエルがあるが,アメリカドルの少額紙幣が普通に通用する。
 
 治安面は急速に回復しており,一部注意地域もあるようだが,アンコールワット周辺 では不安を感じたことはなかった。深夜遅く1人で歩いたりすると分からないが,常識的な行動をしている限り心配はないようだ。
 
 今回はツアーを使ったが,グループで回るわけではなく,ずっとカミさんと2人旅, 現地ではガイドと車と運転手が同行した。飛行機の中で出入国カードなど英文書類を書くのに,お互いやや心細かったが,逆に自分たちだけでも 十分行けると自信?もついた。この次は,1人で1週間ぐらいゲストハウスに泊まり,バイタクを使ってじっくり見て回りたい。
 あなたもどうです行ってみませんか?

(5〜6.AUG.2002)

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